ホンダ VTR1000F


購入までのいきさつ・・・

実は、大型2輪免許を取得し、GSF1200Sの次に乗ってみたかった車です。
当時はスズキからTL1000が発売になっており、試乗させてもらったのですがとても扱える物ではなく、赤男爵で試乗したVTRがずっと思いにありました。
後にスズキのSV1000に一時乗っていたのですが、V2の車のイメージとはちょっと違う感覚、インジェクションという事もありましたが、今考えればハンドル高めにしてた分、ただでさえ少ない前輪荷重がもっと下がっていたのかもしれません。(ラジエーター配置の問題)

で、当分R100RSもあるし、同業者ツーリングならDRの方が使い勝手良かったりでそのままでした。
たまに出てくるVTRの中古はその都度気になってましたが、酷暑のためR100の出番も減り、何気なく見ていたバイクブロスの中古車情報で御世話になっているお店の支店にこの車が入ってきている事を知り、試乗させてもらってエンジンも問題無いことがわかり、いつのまにか名変済ませやってきました。

10年落ち、15000キロほど走った 国内仕様のVTR1000Fです。




とりあえずインプレ

もう絶版車ですけど、由来を見れば ブロス650の発展型として企画されたもの。凝った狭角72度位相クランクOHC3バルブのツインプラグというものではなく、DOHC4バルブです。
ラジエーターが両脇に来る事で、エンジン位置が前輪近くまで前に出せ、重心位置の適正化という理屈。

受け取った段階で、どこ製か不明の少し高めのセパハン(ハリケーンの物より精度良い感じ)、小僧ウインカー、小僧フェンダーレス、Fキャリパーはノーマルのニッシンだけどマスターはブレンボのラジアル、ブレーキホースはステンメッシュ、リヤサスはオーリンズのプリロードがリモコンで変えられるものが付いてましたがリモート機能は死んでました。マフラーはレオビンチのSBKにバッフル無し、ステップはBMXみたいな太いアルミ製。スピードリミッターはカットしてありました。
という 仕様。

さすがに音が大きいのでバッフルだけ別に付けてもらいましたが、出口絞ってるだけなので音量は気持ち減っただけ。
このままではちと面白くない(ええ年こいたおっさんのオートバイなので)ため、フェンダーは純正に戻しました。(シート下スペースの有効利用)(雨降った時困るし)ステップはホンダ純正に変更。
タイヤはバトラックスのスポーツツーリング用ラジアル。

10年間、どうも納屋とか屋外で保管されていたようで、錆やくすみもたくさんあり、ぽちぽち補修中。

走ってみると、さすがにホンダのV2です。極低速でも不機嫌にならず、チェーンノック消えるくらいの回転でもそこそこパルシブ。真ん中から上ちょっとで気持ちよく走れます。
旋回の進入でアクセル締めっぱなしだと少し面白く無いのですが、そこは適当にごまかし、ブレーキ緩めると強烈に旋回はじめます。超高速でなくても、普通に車について流すときでもこれははっきり体感でき、エンジンが追従します。
外乱で少しゆらゆら気味なR100と違い、さすがに現代の強固なアルミフレームにラジアル履いてるだけあって、直進安定性は完璧。これは安心です。

これがなかなか面白いのです。

飛ばさない時にせかされないのはホンダの上質なV2のメリット。

積載性がいまいちではありますが、シートバック付けるにはタンデムステップホルダーにアンカー取れば前は問題無し。後ろはナンバープレートかフェンダーにアンカー付けてやれば2泊程度までなら問題無し。(このためにフェンダーを純正に戻しました)
V2でタンク下にキャブレターとエアクリーナーが鎮座してますので、巨大なタンクの割に容量は少なめ。とはいえ燃費悪化しても150くらいまでは警告灯点かないはずなので、オフ車の事を思えばそんな欠点でもありません。(おっさんはたくさん休むので減ったら注げば良いのです)

やっぱり最初からホンダのV2にしておけば良かったなぁ であります。 普通に使えるのが何とも嬉しいです。



ホンダのFコンセプト

CB750F とか VF750F とか VF400F とかホンダのスポーツ車にはFの字がつきます。 
4気筒のFour だと思ってたんですが、どうもそれだけじゃない様で スーパースポーツではない、スポーツツアラーというカテゴリーの物にホンダはFを付けている様です。

スポーツツアラーというと何やら鈍足な感じもしますが、実際に町中の足で使ったり、山間部を気持ちよく走ったり、長距離乗ったり、荷物満載したり という使い道(普通そうです)に一番適したものの意味です。
アルティメットスポーツというジャンルが増え、やたらと高出力な重いジャンルもあります。高速だけの長距離にはこれも楽しいですが、それだけじゃ面白く無い。
スーパースポーツもRC30だ1100Rだという時代よりもっと特化してます。(これはこれで楽しいですけど)

おっさんには やはりこのFコンセプトが懐かしく安心できるのであります。



R100RSと比べて

比べちゃいけませんが、重量は似た様なもの。乗車姿勢もどっこいどっこい、タンク角が丸い分だけVTRが楽。
今時の車は強烈に止まります。渋滞で止まっててエンジンの過熱を心配する必要は水冷なので無し、点火時期も電子制御なので問題無し、発電機容量とかセルの破損とかは気にせず乗れます。

高速での居住性はR100の圧勝ですが、人間の回りの気流は今時のVTRの方がなだらか。ヘルメットの前で気流が渦巻くR100より、静粛なヘルメット使うならVTRの方が耳鳴りとかはありません。

でも、OHVの水平対向もDOHCのV2もそれぞれ味わいがあり、皆良いとしか言えません。


一年ほど乗ってみて

ホンダです。壊れません機嫌損ねません。
当初は積載性とかも気になってましたが、純正リヤフェンダーに戻し荷物フックのアンカー追加したので以前アフリカツインで使っていたシートバックがそのまま乗ります。キャンプするのではないので現状ではこの程度の積載性で十分。
前歴が青空駐車だったのか、メーター裏は大変錆びてます。Fカウルのサブフレームも錆がポチポチ。メーターのは処置しておきましたがサブフレームもいずれ再塗装です。
ETCも付けました。
車載工具はフェンダーレスで紛失してたので、要る物を袋に入れてシート下に置いてます。
前オーナーがグリップを社外に換えてましたが、接着不良で抜けたため再接着。ワイヤリングもしてもう問題無し。前歴消すのも仕事。
当初動作しなかったリアショックのプリロードアジャスターはRS広島のメカさんに直してもらいトラブル解決。
社外マフラーの音がちと気になってましたが、バッフル付けたのに耳が慣れこんなもん。
Fブレーキにブレンボのラジアルマスターが何故か付いていた(キャリパーも付け替えていたのを売却時にノーマル戻し?)のがノーマルキャリパーとの相性がどんなもんか、予算確保できたら全部ノーマルに戻します。
H4バルブ1灯は、日が暮れると今では提灯です。
燃費は15キロ前後、常用回転変えてもそれほど変化なし。燃料タンクに見えるのはエアクリーナーボックスのカバーに過ぎないので150キロも走ると燃料警告。警告灯点いてまだ大丈夫〜などと思ってると痛い目に遭います。(注げば良いという話)
ぷるぷるした駆動力はちんたら走る時もしっかりトラクションかかり楽です。
ホンダのVなので、キャブレターのメンテは大変な作業になります。
最初から高めのセパハン(ハリケーンか?)に交換してあるので、ポジションがしんどいと思うことはほとんど無し。
高速でカウル付きの割に風きついなと感じてましたが、ヘルメットを今時の物に変えたら解消。
一般道でも高速でも、全く癖はありません。見たラインにそのまま乗ります。回さなくても追従。通常走行ならシミーも発生しませんし、左右癖も無し。
センタースタンド無し、レーシングスタンドのピボットがスイングアームには付かない。リアアクスル貫通で作業。(これ以上の作業はお店に持って行きます)

タンクがちと小さいですけど、非常に無難に楽しめるツーリングスポーツであります。
R100RSは夏乗るもんじゃないと思ってましたが、VTRも夏場の渋滞ではフレームまで熱くなります。水冷とか空冷とか関係無いです。

V4もいいんだけど、ホンダのV2はそんなに癖や個性無いけど、何となく走り続けたくなる鼓動がありますです。






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