2輪屋しろくま 近場の道中記



2001年9月18日〜19日 快晴
国道2号線を経由、竹原市忠海から大三島に渡りしまなみ海道を走って四国松山へのコース
ヤマハ BW's100


きっかけ・・
春頃からミニバイクでしまなみ海道を走ろうと計画していたのですが、梅雨や真夏の酷暑によりのびのびになっていました。9月に入り中国地方もしのぎやすくなり空冷のミニバイクでも辛く無い時期となり、友人森井氏を誘い(強引?に)1999年にKSR-2で走ったコースの残りを走る事となりました。


1日目

午前中の仕事を早めに終え、出発は11時半を過ぎていました。本日は快晴。原付スクーター2台(といっても私のは100ですが)自宅から裏道を抜け国道2号線へ出ます。2号線の速い流れを避けて裏道を走っていたのですが、何故か2号線が大渋滞。JR瀬野駅を過ぎても変わらず。5分おきにわずかに進む程度です。
路肩を抜けるには車も多く、30分ほど時間を無駄にしてしまいました。渋滞の原因は瀬野川の登りのS字カーブで対向車線からはみ出してきた大型トラックを避けようとした大型トラックが路肩の斜面を登り激突したためでした。
これを過ぎると嘘のように流れは良くなりました。今回は原付ですので、車の流れには乗らず、車からあおられない程度の速度をじっと維持して走ります。台湾ヤマハ製メーターの誤差が非常に大きく、こういうときには便利です。
八本松で私の車へ燃料補給。昼食をお互いとっていなかったため、西条町の入り口のあたりで回転寿司に入り豪遊。エンジン冷却。
ここであまり本気になって食べてもいけないので(けっこう食べましたが)実は10年ぶり位だった回転寿司に感動。一緒に走る者がいるとこういうときが楽しいのです。
自動車で山陽道を利用する機会が増え、2号線の西条の市街地を走る事もめったになくなったのですが、原付の速度だといろいろな物が見えて来てけっこう愉快でございます。この頃にはペースもつかみ、おっさんの探検隊気分。

国道2号線を右折し、竹原市へ入ります。普段親戚の家に行くときに良く通る道ですが、今日は寄り道。竹原市内の町並み保存地区を歩いて回ります。
 生活のにおいがする町並み
めったに歩く事はないのですが、スクーターで通過するだけでは発見できないものもあり、時間は過ぎてゆきます。
なんでもない張り紙が法座案内だったり、知ってる方が講師だったり、静かな人の話し声が響く路地です。

竹原港から中四国フェリーで一気に愛媛へ・・という選択もあったのですが、それでは原付で来た意味がございません。
そろそろお尻も痛いのですが(BW'Sはかなりシートが辛いです)竹原のフェリーターミナルを横目で見つつ、海沿いを東進します。

忠海港はすぐ近く。小さな看板を右折してJR呉線の踏切を渡ると漁港が見えます。
 忠海港フェリー桟橋 目の前は大三島
ここでしばらく船待ちの休憩。生活道路のフェリーですので、30分程度待てば船は来るはずです。忠海港は切符が自動販売機です。
2本目のお茶を飲む頃にはフェリーが見えてまいります。
フェリーの右舷には大久野島が見えます。大久野島へもここから渡ります。船に乗るだけでも探検気分は増します。
おっさんの乗ったフェリーは20分もしない間に大三島に到着。上陸すると更に探検気分が・・・。

しまなみ海道の北側の起点は尾道市なのですが、大三島まではKSRで走破しています。今回はこれからが未知の国(どこが)。
時間があれば瀬戸田に戻り平山郁夫美術館などを巡るのも楽しいのですが、本日の目標は松山。
島の道を走って行きます。
 多々羅島大橋 左側は瀬戸田町
島の道ですので、余所から来られる場合はペースをかなり落とされた方が良いでしょう。狭いけれど楽しい道が続きます。ゆっくり楽しむ事も大事です。
この時点では次の伯方島で伯方の塩ラーメンを食べに行く予定でしたが、瀬野川の渋滞と西条の回転寿司によってまだ食べる時間でもなく、今宵の宴もありますのでラーメンはパス。
島の海岸沿いをとことこ走っていくのです。もうここは愛媛県。
 大三島橋
大三島から伯方島へ渡ります。しまなみ海道の原付自転車道は舗装してあるみかん用農道のレベルと思った方が良いです。傾斜もかなりあり(自転車だとかなり体力いりそうです)対向車もありますので慎重に走ってゆきます。ブレーキ跡がいっぱいありますので注意注意。

伯方島が見える場所に道の駅があり小休止。ブースに伯方の塩ソフトクリームがあります。話の種に食べてみると良いかと思いますが、私は「でこぽん」のシャーベットをいただきました。美味。
おっさんふたりの海岸物語。(ノ ̄∞ ̄)ノ
しかし夕日はどんどん低くなり美しくなっていきます。
 伯方・大島橋を渡ります。大半はこのような対面通行。
どうしてわざわざ原付できたかというと、しまなみ海道の原付道は大半がこの様に橋のはしっこを走ります。駐停車禁止とは書いてありませんので、通行の邪魔にならない場所であればごく短時間下も見えます。当然海です。遙か下方に船が見えたりします。実際、中央の自動車専用道を走ると、トレール車などでスタンディングで高い視線を維持しない限り下は見えません。橋を渡る実感は原付の方が遙かに大きいのです。
でも・・夜間はけっこうこわいかも。
 料金箱 おつりは出ません
橋の通行料金は今回のルートで、来島海峡大橋以外は50円。来島海峡が200円でした。料金はこの様に賽銭箱?の様なブースに投げ入れます。
おつりは出ませんので、50円玉を持っておいた方が良いでしょう。
伯方島から大島へ渡り、降りる道はまだ工事中でした。ショベルカーの人が避けてくれました。未舗装路・・・ちょっとアクセルが開きそうになるのですが、森井氏の事を優先し自重。ええとしこいて学生みたいな事をしている怪しい探検隊に呆れた笑顔でございます。

大島の道は自動車で来ても専用道はまだ整備されていません。交通量が少し多いような気がしますので注意。島の雰囲気を楽しむならば小さめの自動車で下道を走る方が良いでしょう。
神戸淡路鳴門自動車道(明石海峡大橋)や瀬戸中央道(瀬戸大橋)などのように四国との経済交通が第一目的のルートではありませんので、いろいろ探検してみるのも良いものです。
実際、広島方面から愛媛県に渡るだけなら広島港・呉港・阿賀港・竹原港・三原港からフェリーがいくらでも出ています。料金・時間ともフェリーの方が有利です。

 来島海峡大橋をゆく
今回のルートで最も大きな橋がこの来島海峡大橋です。瀬戸内海(第六管区)での海上交通の最大の要所です。
今治港から大三島や大崎上島へ渡るフェリーは今でもこの下を抜けてゆきます。大崎上島の南側からなら肉眼でも見える巨大な吊り橋。
ちょうど夕日が美しい時間でした。
通勤利用の地元の原付はかなり飛ばして行きますが、おっさんは景色を見ながらちんたら走ります。

いよいよ四国上陸。

愛媛の波方の町を抜ける頃には6時近くなっていました。来島海峡の展望台の売店は6時きっかりに終了。ここまで来たんだなと実感。
疲労もそこそこあるのですが、元気出して松山をめざして進みます。
今治市から松山へ直接抜ける道(ちょうど奥道後温泉へ抜けます)もあるのですが、高低差もあり交通量も多い道です。我々は海岸沿いを走ってゆきます。
もう日は暮れてしまい、家路を急ぐ車にまじって頼りないヘッドライトに照らされた道を進んでまいります。
菊間町で森井氏が燃料補給。レッツ2も森井氏もなかなかタフでございます。私はもう泣きたいくらいお尻が痛かったです。はい。
アフリカツインが如何に楽か良くわかりました。
と思いながら、右側に見えているはずの海を想像しつつ、海岸線を走ってゆきます。

北条市に入ったのはもう7時前。今回も雪雀酒造さんの直販部に寄る予定でしたが、距離感の狂いか少し迷いました。
国道196号線で北条市に入り、市街地の方(旧道)を行くと道路沿いに雪雀酒造がございます。
有名という事では「梅錦」が愛媛のお酒として良く知られていますが、町中の酒屋さんや飲食店では雪雀の看板も大く見られ、酒豪の友人が以前に雪雀の「玄人好み」が美味しいよと暗に「買ってこい」と勧めたのをきっかけに寄るようになりました。
瀬戸内海のお酒としては珍しく辛口の濃いお酒の部類に入ると思います。

松山はもうすぐ。北条を抜けるあたりから車が増え始めます。そこそこの渋滞もありましたが、こうなると原付は強いのです。道後や県庁の案内に従い松山市内へと入ってまいります。松山城の掘が見え、路面電車の線路に従って繁華街へたどり着きます。本日宿泊のビジネスホテルに予定より30分ほど早く到着。
スクーターで来た事をフロントで告げると、わざわざ庭園の門を開けてくれて花壇の横へ置かせてくれました。感謝。
松山の知り合いに連絡するともう食事に行こうという事で、さっさと風呂に入り、道後温泉を明日に回し、居酒屋さんで乾杯。
食べて食べて飲んで飲んで疲れ果てて爆睡。

本日の走行188Km

2日目

旅先の目覚めは一発。家にいると絶対に起きない時間でも目はぱっちりでございます。
一人旅だと朝食をとらない事もあるのですが、今回はしっかり食べます。8時過ぎにはホテルを出て道後温泉本館の前で記念撮影。
温泉の商店街はまだ開いていませんでしたが、おみやげ物やさんを探し、森井氏は家族へのおかいもの。
朝から浴衣で歩く温泉客を横目で見ながら、出立の観光バスの排気をあびつつ道後から松山大学の横を抜け観光港に走ります。
本日は午後3時から研修会があり、それまでに帰られるフェリーに乗るのです。
観光港までは渋滞にもかからず、円滑に到着。新しくなった松山観光港のターミナルで竹輪や「じゃこ天」を購入。
うどん食べたいという思いを振り切り、展望デッキから広島行きの高速船(これだと1時間で行けます)を見たりする間に、フェリー乗り場にも車の列ができてきます。
9:45のフェリーに乗船。これで四国ともお別れです。
 松山観光港を後に
ここからは2時間半の船旅。デッキに出れば快晴。北条市沖の鹿島も見えてまいります。小学生の頃にYMCAの宿泊研修で北条のスポーツセンターにこのフェリーで来たときには太平洋を航海するくらいに長い時間に思えました。
これくらい晴れていると北条市を過ぎたあたりから来島海峡大橋が水平線の向こうに見えてくるのですが、今回はだめ。
森井氏はデッキで風に吹かれながら本を読んでいたようですが、私は潮風と日差しにうつらうつら。

広島と松山は随分遠い様に思えるのですが、北条を過ぎれば左舷前方にはもう広島県の倉橋島が見えます。広島西飛行場発の松山行きコミューターが廃止されたくらい実は近いのです。水中翼船時代に1時間半くらいだったと思うのですが、スーパージェット(地表効果浮上船)だと1時間ちょっとで走ります。
途中松山行きのスーパージェットとすれ違い、それが再度広島港に向けて追い越して行く頃には広島県に入り、やがて赤い音戸大橋が見えてまいります。
音戸の極端に狭く交通量の多い海峡を過ぎれば、もう呉。赤茶けた日清製鉄の工場を右に旋回すると呉港が見えてきます。
呉湾に停泊中の海上自衛隊のヘリコプター母艦。潜水艦桟橋の黒い潜水艦。補給艦に対潜護衛艦。軍港としての呉も見えます。

呉港に立ち寄り、北方に転舵すると広島が見えてきます。
日焼けしながらの2時間半の船旅。同行者がいるとあっというまです。
宇品港(広島港)から自宅まではいつもの道。
大きなトラブルもなく、無事帰宅。
昼ご飯はじゃこ天でございました。

お疲れさま。

やればできる原付探検隊も任務完了。

本日の走行は20Km


50CCでしまなみ海道を全線走破となると、尾道まで行かねばならず、午後出発ではちょっと無理かもしれません。
普段なら大排気量の2輪や自動車で一気に抜ける道ですが、個人的に瀬戸内海の島というのは親類がいる事もありあまり珍しくもないのです。
しかし、ゆっくりしたペースで淡々と移動しているといろいろな物が目に入ります。通り過ぎるだけではわからなかった発見があります。
4サイクルのシートの楽なミニバイクでの旅もいいかなと・・思いました。
同じ島でも、昔の安芸の国と備後の国と四国ではかなり雰囲気も違います。中四国とひとくくりにされる事が多いのですが、松山は広島弁とは全く違い非常にあたりのやわらかい関西弁に似た言葉でもあります。

地元の人や車を最優先で、静かにとことこ巡ってみるとよいかもしれません。
島の中は丁寧にゆっくり走りましょう。 愛媛県は広島県西部よりも運転マナーは荒くはないのですが、「伊予の早曲がり」と言われる右折の強引さは注意した方が良いでしょう。愛媛県では松山市はかなり渋滞します。

総走行距離は200Kmちょっとでしたが、BW's100もレッツ2も1回の燃料補給で走り抜きました。
お尻が極端に痛い、痛くてもスタンディングで走れないという事だけをのぞけば、125以下の旅はなかなか面白いのです。

車の少ないコース、美味しい食べ物を探して、探検隊は次回の任務を・・・


2001/09/20


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