2輪屋しろくま 近場の道中記



2001年9月4日〜5日 晴れ後 大雨
山陽道・九州道経由にて熊本泊 翌日阿蘇・竹田市を経て佐賀関から愛媛経由のコース
BMW R100RS


1日目

天候は快晴。5日から出発の予定が都合で急遽4日になる。ホテルの予約が取れ荷物をまとめる。といっても1泊であるので今回はコンパクトカメラ一つ。
車庫で空気圧点検、フロートのガソリンも開けて見る。異常なし。夏前の改修以来あまり遠くに出ていなかったR100を引っぱり出す。
西広島バイパスで燃料補給。給油口から気化したガソリンがタンクの塗装面にこびりつくのを発見。あの面倒な汚れの原因はこれ。
廿日市インターから山陽道へ入る。風の音は相変わらず大きい。こればかりは設計年代の問題である。大きなバイザーの付いたヘルメットで乗るオフ車より風切り音は大きいかもしれない。しかし同調の取れたエンジンは非常に快調。調子が良い、改めてスムーズさを体感する。
体感する体感する・・・気持ちよい。山口県警の高速隊のパトカーがちょっと休んで行きなさいと車の中でエアコンに当たらせてくれる。
高い冷房料であったが、抑え気味の長時間巡航という事を忘れていた自分への忠告だった。
「まぁ流れも速いしわからんでもないが、気を付けていきんさいよ」との言葉に元気良く返事をし、風の巻き込みが騒々しくない速度で走る。
ふつうの流れに乗って走る。あたりまえの事を忘れていた。
壇ノ浦まで一気に走る。関門海峡、再び九州にやってきた。
 関門海峡 ここから九州だ!と思わせる場所。

古賀SAで燃料補給、スタンドの人の言葉で九州だと実感。そういえば山口の高速隊の人は中国地方言葉であった。
ここまでで距離としては2/3程走っているのだが、久留米あたりから流れが悪くなる。疲労はほとんど無し。夕日に照らされた自分のシルエットがちょっと良い。
大分道が開通してから福岡の親戚の所へ行くのに久留米ICで降りる事はなくなったのだが、ベージュの鉄橋は父と車で走っていた頃と変わらない。
左方に阿蘇の外輪山が広がる。右手は平野が広がり夕日が沈みゆく。

熊本ICで国道へ降りる。キタムラにデオデオに王将と街道沿いに並ぶ。西日本である。
熊本市内に入るに連れ夕方の典型的な渋滞。あれほど快適だった空冷ツインは焼け火鉢と化す。
熊本城へのショートカットを遠回りし、水前寺公園から電車通りを西進。熊本に来る度に、横目で見るだけの水前寺公園である。
バスの熱気に包まれながら熊本ワシントンホテルに到着。だいぶ道は覚えた。
シャワーの後、年末に来た時の居酒屋さんを見つける。(5月に来たときは見つからなかった)馬刺が最高に美味。
これだけは熊本に来ないと食べられないのである。

部屋に戻って、録画を忘れた「プロジェクトX」のおしまいの方を見る。ついでに天気も確認、雨マークいっぱい・・・。

本日の走行383Km


2日目

毎度の事だが、旅先だと目覚まし一発で目が覚める、普段もこうありたい。
テレビを見てもやはり雨マークいっぱい。阿蘇からやまなみハイウェイ経由で大分道へ入る予定は変更。竹田を過ぎた段階で国東から周防灘フェリーを使うか、佐賀関から愛媛へ渡るか決める事にする。
朝食は無し、そそくさと荷物をまとめ雨雲に追いかけられながら熊本市内を出立。
何度か通った道、朝の渋滞の中、阿蘇に進路を取る。どうも雨が怪しい。
阿蘇の草千里の展望台は霧しか見えず、道ばたで合羽を着るだけ。もう本降り。
降るものは仕方ない。雨の路面に逃げたがる後輪をなだめつつ米塚の定位置で一応記念撮影。
 なんか前もここで撮影しましたな。 ちょうどガードレールが切れる場所。

こんな天気の日に放牧の牛や馬はおらんじゃろ・・と思ってたら、出てました。
朝の食事の時間。ジャージー種らしき牛。近づくとかなり大きい。有刺鉄線もがまんして柵の外の草をぶちぶちと食べている。
こういう状態で牛を見る事はすくないのだけど、非常に穏やかな顔をしている。牛がこういう顔に見えたのは初めてである。言ってもわからないだろうけど、二言三言言葉をかけてやる。やさしい動物である。
 親子で口の動きがシンクロしてました。この手前に大きな牛がこっち見ながら草食べてました。

土砂降りの路面を抜けながら国道57号へ出る。今回は大分県竹田市へ行く事が主題である。荒城の月の舞台となった岡城の史跡がある。また遠縁の親類の寺がある地でもある。雨にけむる阿蘇を後ろに見ながら東進。天気予報より雨雲が早く広がってきたため、周防灘フェリーの利用は止め、大分へ先に抜ける事にする。

大分県竹田市、小さな川沿いの城下町である。
 岡城があった城壁はほんとはこの手前 「荒城の月」の舞台。

岡城跡から市内に入り燃料補給。スタンドの店員さんの言葉が丁寧。「これ乗りにくいんですよね」との言葉に「そうでもないよ」とさり気なく返答。わずかな距離の移動でも人の言葉のイントネーションが変わり、土地土地を感じさせる。熊本や大分は人が柔らかい。
結局小雨の中竹田市内を巡るも、親類の寺は見つからない。こういう場所で、排気音は柔らかく小さいに越した事はない。
川沿いの小さな町なのだけれど、城下町の色が非常に良い雰囲気を醸し出している。

 良い感じの本屋さん 竹田市内

良い雰囲気の書店を交差点の向こうに発見、撮影している間に信号が変わっても後ろの車が待っていてくれる。
竹田から再び57号線を東進。犬飼から大分市内をめざす。佐賀関から愛媛の佐多岬へ渡る事にする。雨雲に追われる形。

佐賀関は何度か佐多岬から見た場所。大きな煙突が目印だったが、目の前にみるとかなり大きい。あいにくの雨でこの場所からは佐多岬が見えない。
フェリー出港までの間に、本日の昼食。愛想のよい店員さん。カツカレーのついでにかき氷も頼む。いちごのみつがかかったさじで食べる本来のかき氷。美味しい。
出港までに知人への土産を購入。雨の日はトランクの便利さを痛感。
フェリーが入港し、駐車場に戻ると福岡ナンバーのマジェスティの人が居た。2輪は先に乗船してとの事で、ごとごととフェリーに入る。瀬戸内海航路と違い、2輪も所定の位置でタイダウンされる。フックをかける位置を甲板員さんと相談。
デッキに上がるとまだ小雨がぱらつく。遅れてハーレーのサイドカーの人も到着したようだ。
 フェリーのデッキ後部から 出港前
佐多岬灯台から大分を見たときに目に入る大きな煙突は、この日鉱金属の煙突。
快晴ならば目の前に見えるはずの佐多岬も見えず、風雨のためか漁船の姿も少ない。
ここまでが九州の大分で、目の前が愛媛の佐多岬。地図を実感。
さすがに北側が瀬戸内海、南側が太平洋というだけあって、波がすごい。
 佐多岬がかすかに見える
デッキに立っていると時々からだがふらつくほどの波。
先輩がカラオケで歌う「兄弟船」が延々と頭のなかを巡る。船室でおとなしくしていればよいのに、結局ずっとデッキに居た。
ヨットに乗る知人が、あそこは荒れるとすごいよと言っていたが、フェリーでないとこわいくらい波の高さがある。船首の波しぶきがカメラを襲う。
霞の中から佐多岬灯台が見え始め、三崎港に入港。70分の航海。
晴れていれば絶景なのであろうが、これはこれで良いのである。

愛媛はまだそんなにひどい降りではないようだ。ハーレーの人たちが先に降りたため、後ろをおとなしくついていく。
佐多岬のお魚センターでウニを・・と思っていたが、三崎港からは手前に戻るため断念。
農業試験施設の風力発電機が今日は元気に回っていた。
海岸線に沿って長浜に出る頃には雨は上がり、雲の切れ目から海面の輝く光が差し込んでいる。
 1時間後の瀬戸内海側

朝は熊本に居たのに、今は愛媛、海の向こうは中国地方。海岸沿いを快走。長浜の可動橋を横目に通過。適当なペースで走り抜けてゆく。
心配していた松山市内入り口の渋滞はそれほどではないが、車が増えてくると油温が上がるのか2速から上に上がりにくくなる。バス並みの変速でだましながらの走行。何度か通った松山観光港への道も迷わずに済み広島行きフェリー乗り場をめざす。
ターミナルが見えた頃は丁度5時台のフェリーがでてゆくところであった。
次発は20時前、広島港行きの利用を断念し、波方港から中四国フェリーで帰る事にする。
松山でもう一泊するかもと、家には伝えてあったのだが、翌日はもっと雨の確立が高いため、断念。また来る。

途中の北条市で酒蔵に寄り友人へのいつもの土産として日本酒を購入。
雪雀酒造、直営店は工場敷地の国道沿いにある。お店のおじさんが顔を覚えてくれていたようだ。雪雀「玄人好み」西日本の酒としては、ちょっと辛目で美味しい。

夕日に追われる様に、波方港へ到着。なんとフェリーはもう着いて車両の積載も終わっているようだ。「乗る?」との甲板員さんの言葉にうなずきながら大急ぎでチケットを購入。出港を5分近く待ってくれた。ローカルフェリーは優しい。 

フェリーに乗って、缶コーヒで一休み。波方港の待ち時間で晩ご飯とも思ったが早いに越した事はない。
後部デッキに出ると、うって変わったべたなぎ。デッキの椅子にこしかけ、知人にメールする間に来島海峡を抜けて、目の前には豊田郡大崎上島のホテル「清風館」の灯りが見える。うとうとしている間に竹原港に入港。波方竹原間も70分。

下船前に灯火の点検をしていると、テールランプが切れているようだ。幸い予備があったため上陸後に竹原の道ばたで交換。
今回、ここから高速道路を使わなければ、熊本から一切高速を使わず帰った事になるのだがいつものコースと言う事もあり、河内から広島まで利用。
走行中に電圧計のランプが点いたり消えたり。ちょっとびっくり。接触不良の様である。小谷SAで今回最後の燃料補給。本降り前の霧雨をぬけ9時前に帰宅。フェリー以外ではほとんど休んでいなかった。
雨に追われてであはるが、新鮮な経験。汚れたR100に労いの言葉をかけ、玄関で犬にただいまの挨拶。

そういえば、ポジションやシートに関する疲労はほとんどなかった。
本日の走行387キロ。
フェリー以外ではほとんど休憩をせずの13時間。



実は前から渡ってみたかった佐賀関から三崎港へのフェリー。大分と愛媛を結ぶルートはいくつかありますが、航行時間はこのルートが一番短い。
これを使えば、広島から125以下でも別府へ楽に行けそうです。
晴れていれば良かったのですが、太平洋の波を実感。
広島を早朝に出て、山口県の徳山市から周防灘フェリーで大分の国東へ渡り、佐賀関からこのルートで戻るコースもありますが、日帰りでは勿体ないような良いルートです。

帰宅後の点検で、フロントタイヤの偏摩耗で振動が出ていた事が判明。滑る後輪もよく見ればもう摩滅。珍しくマイナートラブルが多発した行程でした。
これだけの雨天だと、R100RSのカウルが強い味方ですが、高速道路を巡航しての静粛性では現代の車の方が圧倒的に楽でしょう。

平均燃費は17Km/L程度。リザーブ無しで250キロが目安。


2001/09/07


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