京商 ピッツS2C 40電動




モーター:AXI 4120-14
バッテリー:PQ4400mah 4セル > ハイペリオン 3700mah 5セル
ESC:JETI MASTER70-OPTO > ハイペリオン 80A OPTO
ペラ: APC 13*10E > APC 13*6 (5セル)
重量:つり下げのバネ秤ではかって 2800グラム位

京商の40スケールアクロシリーズの機体です。大好きなピッツでC型という事で発売後すぐに入手していました。当初ファンファンで使い込んでいた斉藤のFA72を積んで遊ぼうと思っていたのすが、このサイズのエンジン機を遠慮無く飛ばせる環境は私の地域では(安全に配慮してれば)ほとんど無くなり、年に数回寄せてもらう笠岡や阿蘇で飛ばすにはエンジンの維持が難しいという事で箱のまましばらく置いていました。

AXIのモーターはオーラムミニックスとセダクションで2820を使っていましたが近年になり41シリーズも入手できるようになり、最大で70クラス互換という宣伝文句につられて入手致しました。アウトランナーのダイレクトだと芸が無い(個人的には)のですが、何も考えないで普通にエンジン機からコンバートするにはしっかりしたマウントを作れば容易なユニットです。
バッテリーも海外では京商の40クラスに16から20セルくらいのサブCサイズを使う例が良く見られますが、大容量のリチウムポリマーがまだまだ高価ではありますが普通に入手できるようになり、数パックを並列接続する必要も無くなりました。

で、このユニットを使ったらどうなるのか試してみたくなりピッツの製作を始めました。AXIのポン載せ?という思いで途中ちょっと作業が止まってましたが、5月の飛行会前に一応完成しました。



モーターの設定に関しては、ベテランの方がいろいろ絶妙なセッティングを出されていますが、AXIは追いつめていくとかなりの電気を喰うわコントローラーによっては断調するわ発熱が多いわになってしまいます。振動も出るわマグネットの剥離も起きます。
ところが、考え方によってですけど(大半の日本人はこういう使い方しませんけど)推奨電圧の中間以下で使うとパワーは出ませんが意外に電流も少なくて済み、扱いは楽で安定してくれます。

この機体は元がOSの52サーパス推奨ですので(買ったらFA72積みたいですけどノーズヘビー対策は必要です)2826シリーズで十分だとは思いますが尾輪式で14インチペラの使用も可能ですので、4120を使い大径強ピッチペラを低回転で使う事が可能になります。
4120-14だと普通は16セルかリチウム5セルを使うことが多いとは思いますが、4セルなら市販の単セル充電器が使えます。

回して見ないことには話になりません。
先に電流値の目安のためにテストしてみます。
バッテリー:ポリクエスト4400mah4セル
モーター:4120−14
ESC:進角標準 ブレーキ解除設定のみ
ペラ:APC 13*8

この仕様でフルパワーで38A程度で安定しています。JETIのESCですが、特に不具合も無く低回転からでも敏感に回転が追従しています。
電圧降下も全く無理が無く、モーターの発熱は皆無です。
回転数の実測はしていませんが、52サーパスで12*6のフルパワーよりも引いている感じです。

これだとバッテリーには無理が無いですし、ピッツを飛ばすには問題の無いパワーに思えますが、このテスト時にはまだ5セルにすべきか迷っている段階でしたので、ペラを13*10に変更して再度テストしてみました。

13*10になってもモーターは全く問題なく回しています。12セルでの推奨ペラという事でリポ4セルがほぼこれに相当するのではないかと思われます。
フルパワーでの電流値は44A前後にでした。電圧降下もさほど変わらず放電には無理が無いように思われます。
ポリクエストの4400はコンスタント10Cという事ですので、常にフルで飛ばすわけでは無いのでバッテリーへの負担も軽くて済みます。
引きは垂直静止が可能というレベルでは無いですが、普通のスポーツフライトには十分な感じです。

この設定で飛ばしてみる事にしました。


改装ポイント

AXIの純正ラジアルマウントを使いますので、防火壁の前にベニヤで箱状のマウントを作ります。
今回は40クラス機という事で4ミリベニヤを使いました。マウント前面は2枚重ねで8ミリとしています。多少厚すぎるかもしれませんが在る程度剛性が無いと飛行時にローターやペラのジャイロプリセッションでややこしい振動の元になります。
突き合わせ構造でエポキシ接着ですのでマウント面の抜け防止に横から竹のピンを打ち込んでいます。
機体の防火壁は樹脂で処理していますが、エポキシの食い付きは悪そうですのでペーパーで荒らしました。日曜大工店で売っている3プライの安価なベニヤですので接着剤を吸い込んでしまいますが、補強のため防火壁との接着面の角へ左右からアルミアングルをネジ止めしています。
エンジンマウント部分の余分な箇所はカットしています。
バッテリーは海外での京商40クラスの改造例に多くあるコクピットから主翼前縁へ斜めにバッテリーボックスを作る構造です。
低翼機だとキャノピーを取り外しにして上からバッテリーの搭載をしますが、複葉のピッツの場合は下側(エンジンカウル後端)から出し入れします。バッテリーはピンで抜け止めをしています。
バッテリーボックスはバッテリーの大きさに対して少し大きめにし多少の膨らみを吸収します。要所はガラスクロスで補強しています。バッテリーの固定には諸説ありますが、通常の墜落には耐えられる強度としています。

ESCはエンジンマウント下部に固定し、カウリングの中を下部に抜ける空気に当たる位置にしています。
バッテリーを搭載し、コネクターを接続するという作業がすべてカウリング下でできます。
ついでに受信機用バッテリーの充電端子もここにベルクロでつけておきます。(現場での充電で主翼ばらさなくて済みます)
リチウム4セルを使いますので、受信機電源は通常のニッケル水素4セルを別個に積みました。バッテリーモニターは計器板位置に装着してあります。このクラスの機体では普通に別電源でバッテリーを積む方が安全に思えます。

主翼迎角は 上翼0度 下翼プラスというのがピッツやクリスティンイーグルでは定番です。 上翼の迎角が下翼より多いと厄介な事になります。

脚の形状がS2-Aなどと違いますが、S2-Cを見ると根本だけハーフカバーの様ですね。

飛行重量はバッテリー搭載状態で2800をちょっと切る位でした。GP仕様のメーカー公表値が2600から2700ですので、燃料満タンの状態ではほぼ同じか少し軽くなっています。(バッテリーが軽いというだけですけどね)
これなら2826で52サーパス互換の仕様でも普通に飛んでくれると思います。(ノーズ軽くなりますのでバッテリーの位置をもっと前に出したりバランスウェイトは必要になりそうです。)



テストフライト

飛行会の前にトリム合わせだけ行っておきました。
重心位置はGP機の電動化の場合、燃料タンクの位置にもよりますが燃料が空の状態が重心位置で指示されていますので、電動版の場合は少し前目の方が合うようです。
一発目で大破しますと持って行けなくなりますので、緊張しつつ記念撮影だけ済ませます。
バッテリーを接続し受信機電源を入れ動作チェックの後にアイドリング回転で落ち着かせます。
今回は双葉FF9のプログラムミキシングでスロットルからスロットルにミキシングをかけ、設定スイッチを入れたときに最スロー位置が変わり、アイドリング回転を維持できるようにしました。今まではオフセットミキシングでしたが、この方が全開位置が変わらないので良いようです。

タキシングの取り回しも問題無し、40クラスですと地上でも安定しています。
滑走開始位置で静止させ円滑にパワーを入れていくと機体はあっけなく滑走し上昇していきました。EZの40クリスティンイーグルに70サーパスを搭載したものを以前飛ばしていましたが、この機体と感覚は変わりません。
パワーはこの機体には過剰なくらいでした。13*10ペラのため少し癖が出ますがトリムのずれもほとんどありません。このところゆったり系の機体でラダーも多用する旋回の癖があったため少し巻き込んでしまいますが、エルロンだけでスムーズに旋回できます。
巡航はハーフで十分です。
ゆっくり引き起こして大きなループも問題ありません。複葉機ですがローパスでも速度は極端に落ちず結構伸びてきます。
変な失速癖も無く、ややパワーは入れたままでアプローチし着陸できました。
運動性はかなり高い機体ですね。

AXI載せてリチウムポリマー使っただけ の機体がごく普通にパワフルに飛んでくれました。
ペラの音がほとんどのため、ギヤダウンの機体から比べればかなり静かですが、パワーはあなどれません。

帰還後のモーター温度はほとんど上昇していませんでした。バッテリーがやや暖かい程度。
この機体には4セルで十分な気がします。
セル数増やしてパワー上げる方が面白い場合もありますが、セル数少なめでパワーが落ちても重量が軽くなった方が良い場合もあります。

ペラはAPCの電動用の方がいいのでしょうけど、地方ではそうそう豊富に在るわけでもありません。普通に入手できるGP用のAPCを使うことが多いです。
目一杯で使う場合には回り始めのショックが少し大きいかもしれませんね。



飛行が確認できたので、ステッカー貼りとパイロットの作製をしてやろうと思います。
一連の中国生産キットですので、フィルムはあまり良いものではありません。すべて剥がしてロック岩崎さんのS2-Cを再現してみるのも良いかもしれませんね。

残念な事に製作保留中に岩崎さんは訓練飛行中の事故で亡くなられましたが、岩崎さんが大好きだったピッツは私も新妻さんの赤いピッツ以来大好きなアクロ機です。
大事に飛ばして行きたい機体です。

2005/05/13



阿蘇観光牧場飛行場にて
基本性能が確認できましたのでステッカーを貼りました。(この画像だと全然わかりませんけど)
阿蘇での飛行会に参加させていただき、数フライトしてきました。
ペラはAPC13*10で丁度良い感じです。ピッチが強いので着陸時のブレーキ効果はあまりありません。13*8なら消費電流がもっと下げられますがパワーはあるに超したことはありません。
テスト時はかなり緊張しスティックを操作する指が震えてしまうくらいでしたが、今回は様子もわかってますので普通に飛びます。
ロールは非常に機敏で止まりも良い感じです。ループも大きな物が可能ですしナイフエッジの変な癖もほとんど無く抑え込めます。
スパイラルダイブは抜けでエクストラなどより2回転ほど余分に回ります。抜けの高度にマージンは必要な様です。
エンジン音が無いためカウリングの風切り音がしっかり聞こえます。

このサイズになるとエンジンで排気煙やサウンドも楽しみたいところですが、電動でも普通に楽しめます。

パイロットはまだ搭乗してませんが、気持ちの良い切れのあるフライトが楽しめる機体です。

2005/05/20


APCの電動用ペラをテストしてみました。
入手したのは13*10Eです。ペラのハブ部分の径が小さいため、AXI4120のハブアダプターに付属しているワッシャではペラと干渉するので小径の物を製作しました。
知人のクラブの飛行会に誘われ笠岡でテストすることができました。
引きはGP用の13*10より少し良いような感じです。まだ30度超える気温でしたが着陸後にローターを指で触ってやや暖かいかなというレベルでしたので負荷も問題無い様です。
(私はリポ4セルで使っているためこのような状態になりますが、5セルでは違う結果になると思います)

真後ろからの追い風での垂直引き起こしで機首を左に振る癖がGP用ペラに比べて少し大きくなったため、翌日サイドスラストを増やして再度調整しました。
ラジアルマウントのためこういう細工は楽です。

延々と垂直上昇というわけにはいきませんが、高度10メートルから垂直に引き起こしてしばらくそのままで上がっていきますので普通のアクロには問題無い推力です。
(人間欲が出るものではありますが・・・)
ナイフエッジ時の癖取りミキシングもだいぶ合ってきたようで腕なりには言うことを聞くようになりました。
高々度からのスピンであまり回転速度上げたり、5回転以上いい気になって回すと、抜けでおつりがけっこうきます。対地高度に余裕を持っている段階で舵を抜いてエルロンを少し残して抜け方向だけ修正した方が良いようです。

4セルであまり回転を上げない場合にはAPCの電動用の方が相性は良いようですね。

2005/09/15



5セルに変更しました
ハイペリオンの高放電タイプが出たときに3700の5セルを入手していたのですが、バッテリー箱の変更が必要となりなかなか作業できませんでした。
いざやってみれば難しい事ではなかったのですが、今回やっと5セルでのフライトを行いました。
ペラは外径を落としたくなかったためAPCの13*6で様子を見ています。回転数が上がるためEペラとの相性は少し考えてみないといけません。
ESCはJETIの70Aのオプトのままで受信機は別に700mahのニッケル水素を使っています。レギュレーターも信頼性高いものが増えてきましたが、重量が大きな影響を持たなければ別にバッテリーを載せるのが最も確実で安全です。

小さめの負荷のペラでのテストから始めましたので、極端にパワーが上がった感じはしませんが上昇力は格段に向上しています。上向きの静止状態から再度垂直に加速できるパワーはありませんがストールターンの頂点でしばらく粘る程度のパワーはあります。
ループも非常に大きなものが可能となりましたし、大きな舵を使った時にパワーをかけておくことで不意の気流剥離も解決してくれました。

相変わらずスピンやスナップロールはクイックであります。

この状態でまだフルパワーではペラが怪しい音を出してしまいますが、負荷をかけたフライトでもモーターの発熱はかなり減っています。バッテリーもまだまだ余裕が在るようで、これはこれで安全なセッティングかもしれません。ペラは数種類煮詰めて行く必要があると思います。
セル数上げて(電圧上げて)電流値を下げれば4セル時よりモーターからの発熱ロスが減るというのは当たり前ですが、重量増加が大した事ではないのでこの組み合わせはけっこう良さそうです。(ワット数だけでは言えない部分があると思います)

機体の性能は上がってきましたが、操縦者の技量がわずかですのでできる演技がワンパターンなのが難点であります。

2007/05/26


少し手直し
5セルでのテストフライトの後に注文しておいたハイペリオンの80AのESCに交換しました。元のJETIの物もリチウムポリマー対応の物ではあったのですが、細かい設定が最近の物の様にできないための交換です。

エルロンサーボも同時に交換しました。今まで使っていたGWSの汎用サイズ(素直に9601積めば良かったのですけど)にニュートラルのずれの問題があちこちで指摘されていたのですが、あまり気にならなかったニュートラルずれが前回のフライトでえらく目立つようになったため、模型店でJRの小型サーボ(今回はデジタル)に変更し、リンケージも整えました。

機体自体は4セルの時代から阿蘇や笠岡でけっこう飛んでいて、転けたり引っかけたりで満身創痍ではありますが、時々修理しては飛ばしています。

2007/06/22