シーガルモデル PERCIVAL MEW GULL




モーター:ハイペリオン ZS4045-10
バッテリー:ハイペリオンG3 35C 4200mah 5セル*2パック
ESC:ハイペリオン 90A OPTO
ペラ: APC 18*8E
重量:飛行状態で5500グラム

ベトナムのシーガルモデルの120クラスセミスケール機です。
戦前のエアレーサーで海外では時々見かける機体なのですが、日本ではあまり見かけません。私はアンドリュー・デュアーさんの立体紙飛行機でこの機体が気に入りいつか飛ばしてみたいと思ってました。
直列エンジンを搭載したイギリス製の機体です。ミューガルシリーズはいろいろバリエーションがあるようですが、当時のエアレーサーとしては大きめの明るいキャビンでフラップを装備した物もあり、現在も飛行可能な機体もあるようです。
以前は考えもしなかったのですが、最近は押し出しの強いスパッツとか星形エンジン機のでかいカウリングなどに色香を感じてます。

久しぶりに大きな機体が飛ばしたくなり、模型店で問い合わせてもらったところ入手できました。
当初は斉藤の4サイクル150かガソリンエンジンを載せようと思っていたのですが、説明書を読むと電動仕様もあるようです。製作当時斉藤のFG30がなかなか発売にならなかった事もあり、結局手持ちバッテリー2本で10セル仕様としてモーターを選択し製作しました。


ベトナム製ARFという事で、細かい作りは一般的な中国製よりすこし良い材料が使われています。パーツ単体が巨大という事をのぞけば製作は多少の修正は必要ですがそれほど困難な構造ではありません。
私はセットの箱に電動用パーツが同封されているのに最後まで気づかず作業にとりかかり、バッテリーマウント・モーターマウントなどは自前です。

メーカーの推奨では7セルか8セルパックを使い電動化するようですが、私は手持ちバッテリーでセル数を上げ電流値を抑えたかったためバッテリーケースを別に製作しました。

知人のデザイン事務所にCADデータでお願いしレーザーカットしていただきました。3ミリ航空ベニヤが恐ろしい精度でカット可能です。
搭載方向をいろいろ考え、縦積みです。下側をマジックテープのベルトで押さえ、大きな衝撃を受けた場合はここが破損しバッテリーが下に抜ける構造。


モーターマウントはキットに同封されていたのですが、これも2階建て式を製作。4ミリの6角ボルトが最大で50ミリまでしかないこと、モーター載せ替えの場合も短い方のスペーサーとリングを作り直せば簡単に載せ替えというメリットもあります。(実際にはこれでパワー不足という事は全くありませんでした)

ちなみにモーターのセンターはカウリングを実際にあててみてキット指定より変更してあります。

バッテリーハッチは機種下面のプランク部をカットし、そのまま利用。フランジを追加し航空ベニヤのラッチで固定しています。

サーボはすべてJRの大型のデジタルサーボを使いました。コンテスト用の必要はありませんがトルクは必要です。
受信機の電源はキャッスルクリエーションの20Aのレギュレーターを使い、3セル1600mahのリポを使います。バッテリーとレギュレーターの間にスイッチを追加。
5Aもあれば十分なのですが、余裕在るに超したことはありません。5.2Vで電圧は設定。
受信機電源に関してはいろいろ言われていますが、私の環境ではまともなメーカーの(キャッスルかJETIくらいですが)レギュレーターとまともなメーカーのリポを使うのが無難です。
このサイズの機体で、まさか1500mahのニッカドなどは怖くて使えません。ニッケル水素は論外。
2.4Gでは飛行機の場合はめったにそういう事はないと思いますが、ヘリなどでは急に負荷がかかったとき受信機バッテリーの電圧が一時降下し受信機のバインドが解ける事があります。
毎週飛ばせる環境なら、受信機バッテリーを管理してニッカドなりニッケル水素を使うのが妥当と思いますが、飛行が頻繁で無い場合は他の選択が安全です。

受信機は普通の双葉の7chの2.4G。

アクロ機ではありませんので舵角はキット指定で十分。

モーターはハイペリオンのZS4045を使っています。4045−10で18*8Eペラを回した場合、エアクラフトのデータでは90A近くなっていますが、カウルの中の冷却の良い場所にESCを設置し、フルパワーを連続で使うことは無いため、90Aのコントローラーで今のところ問題はありません。(ずっとフルパワーだと機体がもちません)
10セルなので当然ですがバッテリーとESCの間にスパーク防止回路を入れています。コネクターはバッテリーに6ミリのピンタイプ。
スパーク防止(パチ防止)無しではESCのコンデンサーがパンクしたりコネクターにスパーク痕が出るだけです。(6セル以上の電動ヘリでは常識)

スパーク防止が必要かどうか、実際に飛ばしている仲間内でいろいろ試行錯誤し、シンプルな回路に今は落ち着いています。

スピンナーは精度を優先しOKのABスピンナーに変更しています。バックプレートの安定性が違います。



フライト

地元クラブの飛行場で初回のテストを行いました。
フルパワーで回すのは初めて(とても室内で回せるものではありません) 当日強烈なクロスウインドで条件は良くなかったのですが、ハーフスロットルで楽々離陸。
さすがに量産ARF機だけあり大きなトリムずれもなく、無難なフライトでした。水平尾翼の小ささも飛行にはほとんど影響無く、そのままで軸の通った素直なロールが可能です。
着陸もアプローチで無理に減速しなくても、必要な時に18インチのペラで十分な減速ができますのでコントロールは楽です。
きれいにタッチダウン のはずが横風に流されおまけスポンジタイヤが変形しスパッツに食い込んでお辞儀して終了。

大変不細工なトラブルでしたが、中破したスパッツを修理し、脚の鋼線を修正し、遠征飛行会に間に合わせました。
タイヤは製作前から気になっており、テトラが扱っているカバンの90ミリを注文していたのですが、なかなか入手できず困っていたところ、OKモデルダイレクトで扱っているサリバンの似た様なサイズのタイヤが入手でき(シャフト径もぴったり)変更しました。

尾輪も純正ですが、すこし硬くタキシング路面によっては跳ねる事があるため、柔らかいものに変えるかグレードの高い尾輪に変更した方が良いかもしれません。

2度目のフライトは阿蘇の飛行場で行いました。
当日は5から7mの強風。長距離遠征なので、自宅で充電というわけにも行かず、ホンダの900Wインバーターの発電機とアルインコの30Aの安定化電源を持参しました。
タイヤの具合も良い様で、草地の滑走路をスムーズに離陸。
トリムはもう調整済みなので、風の中でもフライトには全く問題はありません。ループもアクロ機の様にタイトに行うわけではないので問題無し。切れのいいターンをしても十分追従しますが、そこそこにしておいた方が無難です。
広い場所なので遠慮無くパワー入れられましたが、4サイクル150ではあり得ない加速と速度の伸びが出ます。このサイズの機体が風切り音とペラの音だけで強烈なバワーで飛び回るのはなかなかよろしいです。

送信機の設定で、スロットルのディレーをすこしかけています。急激な回転変動で無駄な電気の消費を防止するためです。
また、他の40クラス以上の電動機と同じように、スロットル最スローでアイドリング回転ができるミキシングをかけています。
さらに、今回他のパイロン機で設定した、スロットルカットのミキシング(エンコン最スローからハイ側へマイナス100%のミキシングをかけ、受信機電源投入時に不注意でスロットルが最スローになっていなくてもペラが回らないための安全策をとっています。
エンジンと違い、回転停止していても最大トルクに近いパワーでブラシレスモーターは回ろうとします。間違うと大怪我につながります。

着陸はタイヤの変更の効果と草地だった事もあり、スプリングの効いた柔らかなタッチダウンで帰還しました。

持ち運びには不便な大きさですが、この姿態と飛行の切れと素直さはなかなかよろしいです。



1回目のテストの後キット付属のステッカーで仕上げましたが、RCAWの山崎氏の機体のマーキングを見て目から鱗。
尾輪をもう少しすっきり処理したい事、エルロンサーボが主翼下面に丸出しのためハッチを作り横積みにしてやるとさらに良くなりそうです。

充電も大変ですし胴体がかなり長いため間違ってもお手軽ではありません。発電機でガソリン持って行くくらいならガソリンエンジン積んだ方が楽だったかもしれませんが、このサイズの機体が電動で静粛にすっ飛ぶのもなかなか良いです。

2010/05/25