広島旧市内のお盆風景
1997/08 /14 圓龍寺墓地風景
遠景の本堂は光圓寺さん、本堂の左奥の高い建物は、リーガロイヤルホテル広島、その手前に広島市民球場があります。
お 盆の時期は各地でいろいろあるようですが、広島では8月12~16日あたりまでが多い様です。当地の習慣として、お盆にはこのような「盆灯籠」を持ってお 墓にお供えし、有縁の方々への感謝の日とさせていただきます。
広島の盆灯籠
竹 の先を6つに割り広げ、上部に竹のわく(現在では針金のものもありますが)を挟み、赤・青・緑・黄色・紫等の色紙を貼り飾りを付けたものです。初盆のお家 では、表題の画像に写っているように、白い灯籠をたてられます。灯籠ではありますが、実際に中に火を灯すことはなく(昔はナスなどに爪楊枝をさしてロウソ クを立て、中で点灯させたようですが)色をお供えするという意図のものです。
始 まりは、広島城下で傘貼りをしていた浪人さんが、亡くなられた娘さんのお墓にお供えするものを自作したといわれておりますが、他にも諸説あります。「安芸 門徒」特有の習慣と紹介されることもおおいのですが、本来は、広島城下(広島旧市内)から太田川流域にかけての習慣でございます。
長 さ2メートル近いものから 50センチくらいの小さなものまでいろいろございます。
近 年、広島県西部から周辺部の様々な場所でも販売されるようになり、もともとこういう習慣の無かった土地にもみられるようになりましたが、再び元にもどって ゆくようです。最近はコンビニでも販売されているようですが、この記事を書いた1997年より現在の2016年では郊外の大規模スーパーやDIY店、基盤 が別な新興宗教であるはずのワンコインショップでさえ売られています。
バブル期に高さ大きさを競っていたような時代もありますが、2016年には少し数が減ってはきたものの、これが本来の姿であろうと思います。
現 在では、盆灯籠廃止の動きもあり、このような札も一部では販売されています。
実 際、炎天下の墓地で乾燥した盆灯籠は大変火が着きやすく、住宅街の墓地では
火 の管理も大変ではあります。また虚礼廃止ということで盆灯籠をやめるお寺もあるよう
で すが、逆にこのような札に変わってしまう地域もあります。
「南 無阿彌陀佛」の名号は浄土真宗のご本尊ですから、木に印刷し、放置する事に
問 題がないとも言えません。
実 際、盆も遠く過ぎた頃、朽ち果てた名号札が墓地に散乱しているところを
見 たこともあります。「参拝証明」ならもっと他の方法もあると思います。
ま た、当地では、お盆のお墓参りを夜涼しくなってからするという習慣もあり、浴衣でお参りされる風景が見られます。
お 盆の期間は墓地に夜間照明が入り、大勢の方がお参りになられます。
戦 前は寺町の通りに屋台が並び、大きなイベントの様相であったと聞きます。
こ の盆灯籠、風雨に弱い、夕立の後など色落ちして衣服(浴衣)についてしまう、後の処分が難しい等の問題もあり、時代に応じた改良が必要だとは感じていま す。
虚 礼廃止ということで、一時期よりは灯籠の数も減っています。というか元に戻ってきています。本来盆灯籠の習慣のなかった広島県内(山口県東部や島根県西部 でもあるようですが)でも販売されるようになり、こういう無駄なことはやめろという声も出てきています。
灯 籠を立てることが無駄なのか、灯籠を立てて回ればよいとおもう側に問題があるのか、「墓参り」という事の意義を含め、考えてゆかねばなりません。
墓参札について
2001 年から境内の掲示で名号札もしくは卒塔姿に類する物の墓地への放置を自粛して頂くようなお願いをしております。
2002 年には盆灯籠をやめられるなら、通常通りお花とお線香をお持ちになってお参りされると良いですよと掲示しております。
マ スコミは旧来の物をやめ新しい物に変わる事を表面上で時代の推移と言っていますが、実際には業者の儲け話にのっているだけという事が大半でしょ う。
こ の件について後輩のお寺さん(広島市西区三篠の光隆寺さん)に話を聞く事がありました。
元々 現在の様な墓参札は、三篠の光隆寺さんが「虚礼廃止」と「防火のため」の理由で盆灯籠を廃止された変わりに紙で作った名刺状の札を製作されたのが 始まりだそうです。
札 には「下がり藤」の紋が入っております。これは「南無阿弥陀仏」「無量寿」などの阿弥陀如来を示すものを屋外に放置することが不適切であると考え られた事によるものであると聞きました。
確 かに光隆寺さんは当山とは違い、境内の周囲が住宅地という事や灯籠を業者が回収するわけではなく、寺内で焼却していらっしゃる事から、この様な物 を考案されたのだと思います。
と ころが、そういった背景を無視した名号札やあきらかに「とうば」として売られているのものが増えてまいりました。
省 資源という事も灯籠廃止の際に言われていたのですが、名号札は年々巨大化高額化しています。
現 実に浄土真宗の御門徒さんのお墓には教義上不適切な文言が印刷された物もありますし、「とうば」として認識されるようではもはや意味は失われてい るでしょう。
灯 籠を残すなら残す、やめるならやめるとわかりやすく積極的に伝えていく必要があると感じました。
また、公園墓地など灯籠の処分を墓地管理者が行わない場所では、灯籠自体を廃止する所も増えてきました。
増えたとは言っても、本来灯籠を使う習慣の無かった地域も多く、ある意味本来化してきているとも受けとれます。
立てた灯籠は、お盆が終わったら抜き取り処分するよう心がけましょう。
昔は灯籠の竹を他の用途にリユースすることも普通に行われていました。エコと言いながら忘れていないでしょうか。
当山境内の灯籠はお盆の時期が終わった後、近隣の生花店さんが撤去されます。
2002/08 /22 追記
2016/10/02 さらに追記
1997/08/14
2002/08/22@NjL
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